なんて優雅な目覚め・・・・ でもなかった
携帯のディスプレイを見ると 12:24
勿体無い せっかくの休日 しかも快晴の
「あー・・・午前中、寝て過ごしちゃった・・・」
のそのそとベットから起き上がる
・・・・ベット?
確か昨夜は メロとソファーで話しながら・・・ そのまま寝てしまったはず
あぁ そうか また メロが眠った重い私を運んでくれたんだ・・・
メロは意地悪なくせに 変なところが優しかった
(あれ、メロは・・・?)
あたりを見渡すがメロの姿が見当たらない
ベットから上半身を起こした状態で 薄暗い玄関を見つめながら思った
(メロが昼間に外出するなんてめずらしー・・・)
そうだ あのメロさえも外に出るような天気 せっかくの休日なんだ
顔洗って 着替えて メイクして 買い物にでも行こう
欲しかったあのワンピースはまだ残っているだろうか
ベットから勢いよく飛び降りて てきぱきと支度をする
玄関を出ると秋の日差し 心地よい気分 なんて買い物日和
駅まで散歩がてら歩いて 空いてる電車に乗る 人で賑わうショッピングモール
「んー! なんか買い物欲が沸いてきた!」
欲しかったワンピースはラスト1点でギリギリゲット それに合わせるレギンス
踵のデザインが素敵なパンプス ラビットファーのマフラー ワインレッドが素敵なスカート
秋晴れと休日特有の雰囲気に呑まれ ついつい買いすぎてしまった
「・・・重っ」
両肩には大きな紙のショップ袋が2個づつ 計4個を持ってよたよた駅まで歩く
「はぁー・・・ しかも今日に限って、駅まで歩きで来ちゃったし・・・」
あぁ・・・ なんて馬鹿なんだろう 帰りのことをちゃんと考えればこんなに買わなかったのに
こんな時 迎えに来てくれる彼氏はちょうど一年前 手放した
大好きでもなく キライでもなく 普通よりは好きで まぁまぁ気が合った
そんな恋愛は楽だった それが 一年続いた理由だろう
まぁ そんなこと思い出したところで 荷物が軽くなる訳もないのだから
ちゃっちゃと帰りますか! 気合を入れなおして 一歩踏み出した
ちょうどその時
「」
ガヤガヤしている雑踏の中 低いけどよく通る声
まさかと思い振り返るとそこには まさかのメロが立っていた
この明るく賑やかな雰囲気とメロはまるで合成写真のようだ
「・・・お前、もっとよく考えて買えよ・・・」
2、3メートル離れたところに立っているメロの表情は 呆れ顔だった
「だって、天気がよくって、賑わってて、つい、ね・・・」
「ばーか」
そう言いながらも 荷物を3つ持ってくれた
1つを私に持たせてくれるのは きっと 優しい心遣いだ
大きな紙袋を片手に持ったメロは さっさと駅に向かって歩いていく
大きな紙袋 なのに メロが持つと小さく見える
立ち止まっている私に気がついて 振り返る
秋の暖かい日差しに メロの金糸の様な髪が キラキラ
「おい、いつまでぼさっと突っ立ってんだ?」
ぐぅ〜 なんとも間抜けな音で お腹が鳴った
(そーいえば 朝から何も食べてない・・・)
「ねー 朝から何も食べてないの だからもぅ お腹ぺっこぺこー!!」
前方のメロに届くよう 大きめな声で伝える
「・・・分かった、何か食って帰るか」
馬鹿な奴って顔して 歩み寄ってくる
なんでか顔が緩む すごく楽しい気分になる
「で、何が食いたいんだ?」
「んーーー、じゃぁパスタ!」
「またかよ! 昨日の夕飯もパスタだったろ?」
「だって好きだし」
「まぁ、俺は何でもいいけど」
「なんかねー さっきまで帰る気満々だったんだけど」
「そりゃ、一人であれ以上買ってたら肩が外れるな」
「なんかね・・・ メロに会ったら急に帰るのがもったいなく思えちゃってさー」
「・・・・」
「・・・メロ?」
二人でレストランに向かいながら 話してしたら 急にメロが黙り込んだ
いつも返事が早くて 答えに詰まったところなんて
半年一緒に暮らしてて みたことが無かったから
ちょっとびっくり! と一瞬思ったけれども レストランは目の前で
なんとも食欲を誘う香りに思考は飲み込まれ
鳩が豆鉄砲くらった様な顔をしているメロの腕を ぐいぐい引っ張って
店内に引きずり込むような形で入った
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(何名様でしょうか? 2名でーす♪)