人間は生命の危険を感じると 子孫を残そうと生存本能が働くそうです
仕事で疲れている彼が ベットの上ではやけに元気で困るわー というケースもこれに当てはまります
そんな理由から 冬島で遭難しかけた男女は恋に落ちやすく
それ故 冬島は 恋の島や冬島マジック といった別名を持つようになり
街の土産屋には恋のお守り キーホルダー ストラップ せんべい などがたくさん売られています
(地球の歩き方 グランドライン 冬島 P35) 参照
* * *
寒い 寒い 寒い 寒い ・・・
ハロー!! ここは雪山の丁度中間地点にある 今にも吹っ飛びそうな程 ボロい山小屋
「ロッジにログポースを忘れた!」 とほざいていた 馬鹿で間抜けで露出狂のエース隊長と
気温マイナス300度かってくらい寒い山小屋で 足止めをくらっている最中の
白髭海賊団 本船所属 航海士見習い1年生のです!!
事の発端は 昨晩まで泊まっていた山の頂上にあるロッジに 隊長がログポースを置いてきてしまった事
それなら 隊長一人で取りに行けばいいじゃないですかー?
なのに マルコ隊長ったら 「連帯責任だ!」 なーんて言って
か弱い私まで ログポース取りに 吹雪の中 雪山登山を強いるから
無事帰還できた暁には 今度てっぺんの髪の毛をむしってやろうと思います
* * *
「何さっきからぶつぶつ言ってんだ?」
きもちわりーなー と言いながらエース隊長が話しかけてくるけど 無視! 無視!
エース隊長はいつもの格好に 黒いセーターを一枚着ただけなのに 寒いの「さ」の字も言わない
(なんで私だけこんな思いを・・・)
私はというと ダウンにマフラー 手袋 耳あて ホッカイロ 腹巻 etc・・・
今の時代 可能な限りの防寒をしているというのに 大自然の前では所詮無意味で
小屋にあったカビ臭いブランケットに包まって ガタガタと寒さに震えている最中です
目の前にある暖炉には 先ほど燃え尽きた灰が広がっているだけ
火種(エース隊長)が合っても 燃やすものがなければ 暖炉なんて意味を成さない
「、無視すんなって」
聞いてんのか? と言って顔を覗き込んでくる隊長の顔色はすこぶるいい
「まぁ、お前一人で来なくてよかったな」
「そもそも隊長の責任でしょう? 巻き添えを食らったのは私のほうです」
あまりにもぶっ飛んだ隊長の発言に 流石に苛立ちを覚え言い返すと
意外とはっきり言うんだな、お前 と悪びれもなく言われ 更に不快感が募った
(もう黙っていよう コイツは 空気 空気 空気・・・)
そう 自分に言い聞かせて眼を閉じる
「でもまぁ、気の強い女の方が好きだけどな」
誰も隊長の好みなど聞いてねーよ と心で突っ込むが 声には出さない
(早く止まないかな・・・)
「こういう生命の危険に曝されると 生存本能が働くらしーな」
(今 危機に曝されているのは私だけだろっ!!)
「子孫を残そうって 本能が働くんだろうなー」
(なら、一人で細胞分裂でもしてろ)
(・・・・・・)
(?)
静かになって助かったのだが 急に黙り込んだ隊長が気になり 閉じていた眼を開く
「っ!! びっくりした・・・」
目の前には胡坐をかいて膝に頬杖をつきながら 此方を凝視してくる隊長がいた
「なっ、何ですか!?」
「試してみるか」
そう言って ニヤリと笑うエース隊長の笑顔に 貞操の危険を感じる
「なっ、何をですか?」
何かって、そりゃぁー と言いながらゆっくりと私を抱きしめる隊長
ついさっきまで 無視をしていた隊長の独り言が 脳裏をよぎる
神様 私が一体何をしたというのですか? 確かに海賊船に身を置いてはいるけれど
人殺しや盗難 無銭飲食 その他諸々 法に引っかかるようなことは 一切していません!
ただ 海を渡って色々な世界を見て回りたかっただけです! 神様のハゲ糞ジジイ!!
「」
耳元で いつもより低い声で 名前を呼ばれれば顔に熱が集まる
回された腕にジワジワと力が込められ 体が密着する あぁ 太陽の匂いがする
隊長の大きな手が徐々に 徐々に 背中を伝い上へ移動する
あぁ やっぱり 私はここで隊長に食べられてしまうのですね
互いの身体は密着したまま 右手で私の頬を包む 親指で下唇を撫でる
お腹が熱い 子宮が収縮する どうしよう なんだか堪らなくなってきた
「あ、あの・・・私、その、こうゆうこと・・初めてで・・・」
「あぁ」
「だから、その・・・・お手柔らかn」
「バーカ」
「へっ・・・?」
先ほどまでのアダルトな雰囲気の隊長から一変し 目の前の男は笑いを堪えて肩を震わせている
「、お前・・・何を試されると思った?」
「何って・・・」
「俺は、メラメラの実の能力を使って 寒がるお前に体温を分けてやれるか試すつもりだったが・・・」
ふーん そうかぁ と言いながら意地の悪い笑みを浮かべる隊長は 絶対に確信犯だ
開いた口が塞がらない 穴があったら入りたい
「お前がそのつもりなら、しかたねぇな」
「ばっ、馬鹿! 変態! そんなつもりなんて--------」
「無いなんていうなよ?」
すると隊長は首筋にカプリと噛み付いて やんわりと歯をたてた
ゆるりと舌先で舐め上げられると 噛締めた奥歯から声が漏れる
「んっ・・・」
「さっきあれだけ物欲しそうな顔しておいて」
背中に合った左手が するすると下がり太ももを撫でる 不覚にも体が震える
「や・・だ、隊ちょ・・・」
「安心しろ、手加減くらいはしてやるよ」
その言葉を最後に 隊長は無駄口を止め 行為に本腰を入れてくるものだから
初心者の私は 唯声を上げて隊長に縋り付くしかなかった
* * *
冬島を発って 早一週間が経ち 次は夏島を目指し 船の舵をとる
まんまと冬島マジックによって 彼の所有物と化してしまった私は
ゆらり ゆらりと波に揺られながら エース隊長の膝に乗せられてる
後から聞いた話によれば 隊長は故意でログポースを忘れたらしい
それに薄々気づいていたマルコ隊長は 連帯責任という不条理な名目の下
私とエース隊長の二人を 雪山に向かわせたらしい
なんと手の込んだ悪戯だ こんなやり口はずるい! 卑怯だ!
そう 隊長に詰め寄ると じゃぁ 止めるか? 何て言葉をさらりと言うものだから 怒るに怒れない
詰まる所 最初から最後まで すべては隊長のシナリオ通りに踊らされていたのだ
現に今だって エース隊長は自ら暴露した訳だけれど 隊長に囚われてしまった私は
それを責める事など出来ない 甘受するしか道は無いのだ
なんてたちの悪い冬島マジック どうか 夏島でも解けないで
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